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■小鉄の健康論 執筆:月影小鉄
★小鉄の「猫生」を考える
 言うまでもなく、じゃりン子チエには猫という存在が必要不可欠である。
 準主役である小鉄、ジュニアの存在、そして彼らの物語はあの平和な、ある意味、牧歌的なじゃりン子チエの世界に奥行きを与えているていっても過言ではないだろう。
 いまさら説明するまでも無い事が小鉄は喧嘩まみれの猫生を歩んできた訳だが、小鉄の戦いの人生の幕開けは九州の三途の猫町の戦いであった。
 もともと猫の楽園であった猫町銀座をブーメランの使い手カズヒサを始めとした連中が喧嘩の絶えない三途の猫町にしてしまった。そこで小鉄は立ち上がり、連中を一掃、三途の猫町を元の猫町銀座に復興させる(どらン猫小鉄)。
 小鉄はその功績から猫町銀座再建の父として石像が建立され、地元の猫達に祭り崇められている(じゃりン子チエ番外編どらン猫小鉄奮戦記)。
 そんな小鉄も、もはやおっさん。
 「歳で言えばチエちゃんとチョボチョボ言う所やねんから」というシーンがあるが、実際にまるっきりトントンならば小鉄の実年齢は10歳から11歳である。動物の年齢を人間の年齢に置き換えるには、実年齢に6をかけて求めるから、小鉄は人で言うと60から66歳である。
 おっさんどころかじいさんにも足を踏み入れる寸前である。
 そうなってくると小鉄の健康というものが気にかかってくるところだ。それについて少し考えてみようと思う。

★小鉄の食生活について
 小鉄の食事はもっぱらホルモンとお好み焼き、それもイカ玉が好みのようである(単行本3巻、賭け相撲でジュニアに要求している)。
 しかしそんな小鉄もやはり猫、魚も当然好きなようで、寝惚けたチエにたんすに投げ飛ばされ、むっすりしていた時小鉄は朝食にアジを食べている。
 チエは「小鉄、(自分の)アジやる。機嫌なおして」というが結局食べ損ね、たんすを叩きながら号泣していた(単行本3巻)ことや有名なところではひょうたん池のフナをジュニアと塩漬けにしている事から言える。
 以上の事から推察するに、小鉄はカルシウム、エネルギー、油脂の摂取はほぼ完璧である。というより過剰摂取の気すらあるが、普段からハードな彼の生活を考えると多いくらいでちょうど良いのかもしれない。
 ただ、ビタミンが決定的に不足している。せいぜいブタ玉の豚肉のビタミンB、そしてキャベツに含まれるビタミンC、しかも水にさらして限りなく破壊されたビタミンCである。これはいけない。
 ビタミンの欠乏は意外と質が悪く、ガンを招く事もある。
 単行本が終わってしまったその裏で小鉄がガンに冒されていたとなると笑えない。
 飼い主であるチエちゃんは、是非とも小鉄にもう少し野菜の摂取をさせてやって欲しい。

★小鉄の病気について
 コミックス中、実に小鉄は病気をしない。せいぜいタマをとった留吉におっかられえづいたことと、ジュニアの敵を取る為闘猫人征伐に燃える百合根にマタタビンを大量に飲まされて中毒を起こしたぐらいである。
 しかしこうなってくると逆にそれが怪しく思える。なぜ大して充実した食生活を出来ていない小鉄がこんなに健康なのか。
 密かに食べ物を万引きをしているのではないかという気もするが、事ある毎に「見つかったら刑務所行きかな」、「猫は保健所の管轄じゃ」というような事を言っていることからその線はまず消える。
 それでは、なぜなのか?
 それは小鉄の置かれている環境にある。
 いくらお好み焼きやホルモンで動物性蛋白質や脂肪を過剰摂取しようとも、その分普段からチエにこきつかわれて人間とほぼ同等の仕事量を強要され、たまにのんびりしようとすると昔の雷蔵の栄光を知っている猫に狙われて戦い、それが終わったと思うと酔った百合根に追いかけられる、と、まさに異常な迄の運動、そのせいで蛋白質はかなり有効に筋肉化し、エネルギーも常に燃焼されている。しかも、そういったストレスをテツで発散という実に効率の良いメカニズムである。
 そのせいで小鉄は内臓疾患を起こす事もなく、脂肪の過剰摂取による血管障害、そしてガンを防いでいたのではないか、というわけである。
★結論として
 小鉄はチエちゃんのファンである。自身でそう発言した事もあった。小鉄がほれたのは彼女の人柄であり、精神的な部分であり、極端な話チエちゃんのすべてが彼の感性を打ったのだ。だからこそ小鉄はその愛するチエちゃんのため、一生懸命働いている。
 もし仮に小鉄の飼い主がレイモンド飛田であったらきっと、こんなに忠猫ではないだろうし、下手したらなんの魅力もない駄猫になっていたかもしれない。そのくらい小鉄とチエちゃんの関係というのは良く出来た関係である。
 それは小鉄本人の健康についてもしかりであった。本当に小鉄は幸せな猫である。

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