テツ壊し完全マニュアル

まつうえ

【目次】

はじめに

じゃりン子チエの長い歴史の中で、テツを倒してナンバーワンになろうとした男達がいた。彼らはレイモンド飛田を筆頭にテツに戦いを挑み、数々の名勝負を演じてきた。しかし誰もテツを倒すことはできなかった。彼らの無念を晴らすため、私は難攻不落のテツを徹底的に研究し、ついにテツ壊しのマニュアルを作ってしまった。

その1 道でばったりテツと会った場合

テツは「ヤクザどついたらおまえらポリ公もうれしいやろ」(9巻7話)というように、ヤクザはどついても罪にならないという持論を持つ。早い話ヤクザなら警察も文句を言わないからである。そこで、見た目はヤクザと絶対悟られないようなカッコをしなければいけない。サングラスを見るだけで闘争本能に火がついてしまう。なぜならテツは一時期喧嘩に勝った記念に相手からサングラスを奪っていた(10巻6話)。

そのため、サングラスはどんなにまぶしい日でも絶対にしてはいけない。一部のヤクザは目立たないようにサラリーマンのようなカッコをしてるそうだが(29巻9話)、これは見習うべきだろう。

または、全力疾走で逃げる。これも難しい。まずテツと目が合うと思わずびびってしまい金縛りにあう恐れがある(27巻9話)。これではテツの思うツボ。げんこつと財布のお金がなくなるのは覚悟しなければならない。万が一すぐに逃げられたとしても、テツは足が速い上に持久力がある。日ごろからジョギングをすることをお薦めする。逃げるが勝ちということだ。

その2 テツが自分の組に殴りこんできた場合

テツは何の前触れもなくヤクザの組に殴りこみをかける。別によその組に頼まれたとか、敵討ちとかそういうものでなく、ただ単に暇つぶしとこずかい稼ぎのために殴りこむ。暇つぶしに殴り込みをかけられたらたまったものではない。そんなテツにどう立ち向かえばいいのか、この章で紹介する。

(1)テツの攻撃パターン
テツは常に先手必勝である。「ワシは先制攻撃が得意やど」(8巻3話)と言っているように、たいがいいきなりどついている。そして相手がひるんだらとことんどつく。なんなら倒れても気絶しても気がすむまでどつく。最初の一撃を食らわないようにしなければならない。

テツが組に殴り込みをかけたとき、最初に応対するのは三下ヤクザとなる。テツはあいさつがわりにげんこつをプレゼントする。この一発を食らってしまったらそいつは気絶してしまい使い物にならない。それで三下ヤクザがのばされたら、次は中堅ヤクザが出てくる。中堅までくると相手がどれくらい強いか分かるもんでなかなかかかっていけない。ヒクソングレイシーと高田の戦いで、高田がヒクソンの周りをゆっくり回るのが精一杯だったことを思い出してもらえば分かると思う。相手がかかってこなければテツは攻めるのみ。殴る蹴ると力任せに攻撃する。鉄砲玉のヤクザがドスで威嚇でもすればいいのだが、ドスくらいではテツはびびらない。「ドス持った奴はすぐどつかんとな。しゃべるとだんだんびびってくるからな」(8巻9話)というように、ドスを持ってる奴を見ると速攻どつくようにしている。

(2)一人ならドスを持っても無理
テツが堅気屋で働いていたとき、なかなか帰ってこないことがあった。心配したチエが小鉄が四人組にやられたことを思い出し、菊にそのことをいうと菊が「テツが勝てるのは3人までや。4人やとちと危ない」(1巻8話)といっていた。案の定テツは四人組にやられてしまった。テツは4人以上相手にすると不利になる。ならなぜヤクザの組を10件もつぶすことができたのか(29巻10話)。テツの行く組は3人以下ばかりか。そうではない。テツはテツなりに4人以上相手にするのは危ないと分かっているようだ。だから常に先手必勝。しかも一撃で倒さなければいけない。例えば4人かかってきたとき、1人でも倒せば3人になる。それなら不利ではなくなる。かかってくる相手を3人以内に抑えればいいとテツはテツなりに計算している。テツが自分の組に殴りこみに来たときはびびって動けなくても、必死になって組員全員でかかっていかなければならない。

その3 テツを気絶させる方法

「テツの弱点は?」と聞かれると、じゃりン子チエの読者ならほとんどが「ヨシ江はん」と答えるだろう。しかし、私はヨシ江さん以外の弱点を発見した。

テツが強いことはいまさらいうまでもない。しかしずっと喧嘩に勝ち続けているわけではない。これまでに何度か気絶させられている。読者の皆さんもよっぽどの打撃や痛みを受けない限り気絶をした経験はないと思う。ではなぜテツは気絶をするくらいのダメージを受けたのか。

これまでにテツを気絶させたのは、チエ、小鉄、菊、花井拳骨、四人組、ナンバ大の応援団長、カルメラ、山際元刑事(26巻4話等)ぐらいである。そしてテツが気絶する直前のシーンを思い出していただきたい。すべて闇打ちかカウンターパンチ、会話中である。そのカウンターパンチの例として、小鉄が2回テツが家から出てくる瞬間丸太ン棒でどついてのばした。(4巻7話、12巻11話)また、テツが散髪代をおじいはんからせびったとき、菊との会話がある。

菊「散髪したいんやてな。わたいが連れて行ったげますわ」
テツ「ちょ…ちょっと待て」
菊「なんでや。早よ行かなボウフラが蚊になって頭さされまっせ」
テツ「いや、それがそのまだ、まだ火事になって焼けたとこと周りの毛がそろてないから」
菊「ほんなら短い方の髪の毛にそろえてもろたらよろしいんや」
テツ「アホ-、そんなことしたらワシツルピカに」
菊「アホて誰にゆうとるんや」
ぱかっ!

ここで菊はテツをツッカケでどつき気絶させる。(14巻1話)

このときのテツは完全に無防備だ。会話中なので攻撃されるとは少しも思っていない。逆に少しでも攻撃があると思うとそうはいかない。そのため、元関取のデク登、元ボクサーのワイルド蛮地、現役東洋チャンピョンのソムデン、スフィンクス釜虎、鰻谷ら相撲取り3人などが本気でどつきまくってもテツを気絶に追いやることが出来なかった(3巻10話等)。すなわちテツは戦闘体制に入ったら防御率がすさまじく上昇する。テツはヤクザを見た瞬間戦闘体制に入るので、会話しながら攻撃するのは無理。テツを倒すなら四人組や山際元刑事のように闇討ちしか方法がないのである(1巻8話、64巻6話)。

テツ壊しについて一通り書いてきたが、改めて見ると簡単にはできないことが分かった。もし私の知り合いに西萩のヤクザがいたら、テツに勝とうとか考えず、西萩をでるか、足を洗うかどちらかを薦めたい。



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LastUpdate 2002/1/1
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